朝ドラは“結婚”と“再婚”をどう描いてきた? 時代とともにお見合い結婚から恋愛結婚へ変化

朝ドラの“再婚”から見る“結婚観”の変化

 NHK連続テレビ小説『あんぱん』第8週では、主人公・朝田のぶ(今田美桜)の見合いと婚約までが描かれた。一方で、妹の蘭子(河合優実)の婚約者・原豪(細田佳央太)の戦死が知らされ、くっきりと明暗を分けた姉妹の姿に胸を痛めた視聴者も多かったことだろう。

 そして、「ここでのぶが結婚してしまって、崇(北村匠海)はどうなるのか」と思った方もいるかもしれない。実はモデルとなっているやなせたかし夫妻も初婚ではなく、小松暢は別の方と結婚していて、のちにやなせたかしと再婚している。

『あんぱん』“のぶ”今田美桜の縁談に急展開 『あさイチ』出演陣も“朝ドラ受け”で驚きの声

朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)第8週ラストで、物語は驚きの展開を迎えた。のぶ(今田美桜)が次郎(中島歩)からのプロポーズを受け…

 ここで、最近の朝ドラでの主人公の「再婚」について振り返ってみたい。

 『虎に翼』(2024年度前期)では、主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)は佐田優三(仲野太賀)と結婚し一女をもうけるが、第二次世界大戦下に優三は戦死してしまう。戦後、寅子はシングルマザーとして、残された家族の力を借りながら仕事に邁進する。この間、寅子に縁談がきた様子はなく、また本人も恋に落ちるようなことはなかったようだ。ピンチの時には優三の幻が出てきて励ましてくれることも度々で、亡き夫との絆は強い。

 そして、その気持ちを保ったまま、昭和31年、寅子が40歳を過ぎた頃に、同じ裁判官の星航一(岡田将生)と再婚することになる。この時、寅子は優三への思いもあって姓を変えることを望まず、航一もそれを尊重して、二人は事実婚という形を選ぶ。

『虎に翼』は主婦の描き方も秀逸だった 総集編で再確認したい花江×梅子×百合の生き様

2024年は『燕は戻ってこない』(NHK総合)、『不適切にもほどがある!』(TBS系)、『3000万』(NHK総合)など、ドラマ…

 『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)の一人目のヒロイン・橘安子(上白石萌音)の結婚と再婚も記憶に新しい。この頃の結婚のほとんどが見合い結婚であったのにも関わらず、安子と雉真稔(松村北斗)は自由恋愛で結ばれている。雉真家は名家なので、この頃の結婚観としてはなかなかあり得ないカップルではあるが、そこにはやはり戦争が関わっている。稔の学徒出陣が決まったことで、望みを叶えてやろうと、大人たちが結婚を許してやるのだ。

 しかし、やはり当時の結婚は家と家のものという価値観が大きかったことから、安子は稔が戦死した後、結局は雉真家から出ていくことに。そして、その頃親しくなっていた進駐軍のロバート・ローズウッド(村雨辰剛)に「アメリカに連れて行って」と頼み、日本から去っていく。晩年、安子はロバートのことを「ひだまりのような人だった」と回想しており、前夫である稔や娘、日本への郷愁を抱きつづけた安子を、丸ごと包み込むような人柄だったことを思わせる。

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