『アイマス』如月千早の武道館単独公演に、VTuberの宇宙進出――大きく“羽ばたく”バーチャルな人たち

大きく“羽ばたく”バーチャルな人たち

『アイマス』如月千早が記者会見 日本武道館単独公演を発表

 星街すいせいがマクドナルドとともに『VRChat』に降り立ったと思えば、765プロダクションの如月千早が“記者会見”を開いた。その内容は、日本武道館公演の発表だ。

 如月千早は、ゲーム作品「アイドルマスター」シリーズを代表するアイドルの一人。そんな彼女の武道館単独公演『Oath ONE』が、2026年1月24日に開催されることとなった。これまでも、「アイドルマスター」は数々のライブ公演が実施されてきて、アイドルの3Dモデルが登場するライブもいくつかあったが、単独公演は異例だ。日本武道館という大舞台に、たった一人で立つ。その姿がしっかり想像できるのは、初代から存在する彼女だからだろうか。

【生配信】【765プロダクション】発表記者会見【アイドルマスター】

 そして、もう一つ異例だったのは、「如月千早が記者会見をおこなったこと」だろう。3月25日の配信では、(メタ的な表現で恐縮だが)3Dモデルの如月千早が、「如月千早というキャラクター」を保ったまま記者会見に臨んだのだ。架空のキャラクターが実在人物のように振る舞う、直近の「アイドルマスター」シリーズの方向性が如実に現れた一幕である。複数のメディアがこの記者会見に招致され、現地で“如月千早に対して”質疑応答をおこなったと報じていることからも、その本気がうかがえるところだ。

 ここまでの展開を見せられてしまうと、「架空」だの「バーチャル」だのといった線引は、本質的に意味などないのだと考えさせられる。「その存在がそこにいる」という事実だけがあり、その事実だけを素朴に信じる――2025年はそれで十分なのかもしれない。

ロケットアイドルVTuber・宇推くりあがISSへ飛び立つ

【生配信】日清焼そばU.F.O.「SPACE CHALLENGE」宇宙ぅ!【#UFO宇宙ギネス世界記録】

 「宇宙に飛んでいったVTuber」と聞いて、日清焼そばU.F.O.の企画で輝夜月が気球で宇宙に飛んでいった話を思い出す人は、おそらくVTuberファンの中でもだいぶ古株だろう。

 この時は成層圏、記録としては25km超の高度だった。ギネス記録に挑んだこの企画は2019年6月24日。それからおよそ6年、ついにVTuberは国際宇宙ステーション(ISS)に届くようだ。

 飛び立つのは宇推くりあ。「H3ロケット試験機1号機」の打ち上げ中継配信で時の人となった、唯一無二の活躍を続けるロケットアイドルVTuberだ。株式会社sorae、Chart株式会社、ふわころもち合同会社の3社合同で実施する企画「推し宙スペースライブ」の第1弾に選ばれた形だ。

【推し宙スペースライブ】ミッションコマンダーに就任した「宇推くりあ」さんからのコメント【推し宙プロジェクト】

 この企画は、VTuberのぬいぐるみとアクリルアイテムをロケットで打ち上げ、ISSの「きぼう」日本実験棟に運び、船内でライブ配信、写真・動画撮影をおこなうという、ユニークな“推し活企画”をコンセプトに掲げている。宇推くりあは第1弾のナビゲーターとなり、さらにナビゲーターを代表する「コマンダー(船長)」を務めるそうだ。名実ともに、文句なしの抜擢と言えるだろう。

 なお、ナビゲーターを務めるVTuberはほかにも3名就任予定で、個人活動者を対象に「きぼう」日本実験棟へ行くVTuberを公募するとのことだ。企画自体はクラウドファンディングにて支援を募るとのことで、記念すべきフライトの実現に向けては気長に待ちたいところだ。

 またHISはVTuberのイベントに「旅」を絡めてはどうかと提案してきた。過去にもVTuberとコラボした旅行パッケージを展開してきたHISは、新規事業「HISのV旅」を発表した。企業・個人問わず、VTuberのイベントやコラボ旅企画などを提案するプロジェクトとのことで、屋形船ファンミーティングや貸切バスツアー、オンライン体験ツアーなど、様々なアイデアが提案されている。アイドルによるバスツアーの発展型と思えば、こうした推し活イベントも生まれてくるのは自然な流れだろう。

にじさんじのマスコット枠が「ちゃお」で連載マンガに

 昨年実施した「好きなVTuber」の読者調査が話題になった『ちゃお』からは、にじさんじのでびでび・でびるとルンルンが登場する漫画『でびるんしぇあはうすっ』の連載が発表された。にじさんじどころか業界全体でもレアなマスコット枠2名が、まさかの連載漫画化である。とはいえ、昨年のルンルンの躍進も合わせてみれば、ある意味最も『ちゃお』にマッチした人(?)選ではある。連載は「ちゃおプラス」にて、4月2日からスタートする予定だ。

 他方、「ホロライブEnglish」からは七詩ムメイが卒業を発表した。もともとは5名ユニット「Council」からのデビュー者で、ユニット再編成を経たものの今回の卒業に至ったとのことだ。「Council」出身者はすでに2名卒業済みなため、この世代で残すところは2名となる。先日の紫咲シオンもそうだが、直近のホロライブは離脱者が着々と増えているのは気がかりだ。

 そして、世間はまもなく新年度を迎える。まずはエイプリルフールでひと騒ぎしたあと、VTuber業界も新たな一年がスタートすることだろう。

バーチャルの世界に広がる“小さなコミュニティ”の魅力 体験してわかった「肩を並べる」心地よさ

本稿では、バーチャルの世界に広がる“小さなコミュニティ”の魅力と、筆者が体験して感じた「肩を並べる」心地よさについて紹介する。

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