ガンダム『閃光のハサウェイ』なぜトレンドに? ハサウェイという“特異な主人公”の行動原理

『閃光のハサウェイ』なぜトレンドに?

■ハサウェイは感情移入が難しい?

 先日、X(旧Twitter)上にて「ハサウェイ」がトレンド入りするという出来事があった。いうまでもなく、ハサウェイとは『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主人公である。このハサウェイへの「感情移入が難しい」という点がX上での議論を呼び、数多くの言及が重なった結果トレンド入りしたということのようだ。

  確かに、ハサウェイ・ノアというキャラクターに、読者・視聴者が自分を重ねることは難しいだろう。なんせ、『閃光のハサウェイ』でのハサウェイはテロリストであり、連邦と特権階級による地球独占の打倒を狙う立場である。「主人公は基本的に連邦側にいる」という宇宙世紀ものガンダムにうっすら存在するルールからすれば異端の存在であり、ストレートに気持ちよく「ハサウェイがんばれ!」と応援しづらいキャラクターなのは否めない。

  しかし、彼がそういう立場を選んだのには多くの理由があった。そもそも、ハサウェイはあのブライト・ノアの息子として生まれた。幼少期には『Zガンダム』にも登場しているが、彼の人生を決定的に方向づけたのは『逆襲のシャア』での出来事だ。ハサウェイは『逆襲のシャア』の実質的主人公であるクェス・パラヤに惹かれ、シャアと行動を共にしたクェスを追うためラー・カイラムに密航。ブライトに鉄拳制裁されつつも乗艦し、戦闘が激化した際にジェガンを強奪して戦場に飛び出してしまう。

  ハサウェイはクェスの乗るα・アジールに取りついて説得しようとするも、説得は失敗する。そこにハサウェイを追いかけてきたチェーン・アギの乗るリ・ガズィが出現。チェーンはクェスを制止するべくグレネードを発射し、それがハサウェイに当たることを防ぐためクェスは身を挺して被弾、戦死する。その様子を見たハサウェイは激昂、あろうことか自分を助けにきたはずのチェーンを撃ち殺してしまい、チェーンの死はサイコフレームの発動のきっかけとなる。

  この時の状況は『逆襲のシャア』の小説版である『ベルトーチカ・チルドレン』では大きく異なる。戦場に飛び出したところまでは共通しているが、『ベルトーチカ・チルドレン』ではアムロを撃墜しようとしたクェスを目撃して発射したビームライフルの一発が偶然直撃し、ハサウェイが自らの手でクェスを殺害したことになっている。展開としては、こちらの方が映画版よりハードだ。

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