森三中 大島美幸、ガンバレルーヤは悔しさ・つらさをどう乗り越えてきた? MyMとしてもポジティブに輝く3人の経験談

お笑い芸人の森三中・大島美幸、ガンバレルーヤ(よしこ、まひる)の3人が結成した音楽ユニット・MyM(マイムー)。大島がもともと歌やダンスを披露していたYouTubeチャンネル「大島本気チャンネル」から「本気でアーティストを目指すプロジェクト」としてデビュー。昨年5月の「ASOBOZE」のリリース以降、まさに“本気”の音楽活動を続けている。3人が作詞に参加するMyMの楽曲で一環して伝えられているのは、頑張りすぎてしまう人たちに向けた“もっと楽に、楽しく生きていい”というメッセージだ。今回は、そのような考えに至るまでの経験、悔しさやつらさとどのように向き合ってきたのかについて話を聞いた。彼女たちが前向きに輝き続けている理由に迫りたい。(編集部)
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たくさんの悔しさやつらさを乗り越えて 3人それぞれの向き合い方

ーー前回インタビューさせていただいた時に「怒りをテーマに作詞をした部分もある」とお話しいただきました(※1)。そんな皆さんが、怒りを感じるほど悔しい思いをした経験を教えてください。
よしこ:私は、ずっと覚えていることがあって。「お前で笑ったことないよ」と言われたのがすごく悔しくて嫌でしたね。
まひる:あったね。
大島美幸(以下、大島):え!? なんでそんなこと言うの!? 誰だよ!
よしこ:誰とは言わないですけど(笑)。でも周りの人曰く、その人はそういうことを言う人らしいんです。なので逆に原動力にもなっています。
大島:そっかぁ。私は面と向かって言われたら言い返せるのでなんとも思わないのですが、仲のいい人が言われているのを見るほうがきついです。(森三中の)黒沢(かずこ)さんがまだNSC(吉本興業のお笑い養成所)にいた時に、他の芸人から「お前面白くねぇんだよ」と言われたことがあったんですよ。それを聞いた時にムカついて、黒沢さんより私とむーさん(村上知子)が怒っちゃって。強く言い返す私とむーさんには言わないで、黒沢さんを選んで言っているんです。それにも腹が立って。それからしばらく黒沢さんが前に出ていけなくなってしまったんですね。なので、これを大事にしてやろう、と(笑)。その芸人がレギュラーをやっていた番組に森三中がゲストで呼ばれたので、スタッフさんに「本気で喧嘩していいですか」と聞いたら「面白くしてくれるなら」という返事だったのですが、「無理です」って。
よしこ・まひる:あはは(笑)!
大島:「出るんだったら、本気でやります」と言ったら、OKが出たので番組でめっちゃ詰めたんです。でも、本気で詰めちゃったので全然番組が面白くなくなりました(笑)。
まひる:それ、私見てました。本当の話だったんですね。私もある意味直接的ではなくて、その場の雰囲気を察しすぎてしまってつらくなっています。
大島:あぁ。自分が何かしたからこういう空気になっちゃっているのかな、ってね。
まひる:そうです。多分、私はすごく繊細なんだと思います。
大島・よしこ:超繊細だよ。
まひる:考えなくてもいいことまで考えてしまうんです。
よしこ:それに大島さんのように、まーちゃん(まひる)は私に向けられた言葉にも反応して悲しんだりもするんです。
まひる:怒りを覚えると、泣いちゃう。それで、言ってきた人に対しては「もう会いたくない」となってしまって。会いそうになったら、よっちゃん(よしこ)の後ろに隠れています。
大島:それも解決方法の一つだよね。
ーーそのお話もお聞きしたいなと思っていて。悔しい思い、辛い思いををした時、みなさんはどう乗り越えるのでしょうか。
大島:私は、知っている人に嫌なことを言われるのは、顔が見えるぶん直接言い返せるんです。「今のは悪口ですか?」「こういうことを言うのはやめた方がいいですよ」とか。でも、顔が見えない人に言われると、嫌な言葉だけがすごく残るんですよね。しかも嬉しい言葉よりも嫌な言葉の方が残りやすい。嬉しい言葉の方がエネルギーが強いはずなのに、顔を知らない人のマイナスな言葉が残ってしまうことにだんだんムカついてきて。それなら無視しよう、と思うようになりました。100の力で悪意を投げつけられても、受け取らない。昔は徹底的にやり合ってやろうと思っていたのですが、やり合ったら負けだ、と。そう思うようになってからめっちゃ楽になりました。

ーー素晴らしい。ただ、受け取らないと思っていても、どこかで受け取ってしまっている状態になる人も多いですよね。
大島:それは鍛錬ですね。肩透かしをする練習をするんです。「一生言ってろ」「そういう人生送っておけ」って思うようにする。悪口を平気で人に投げる人生なんて嫌じゃないですか。
よしこ:その通りですよね。
まひる:ポジティブに考えるのは大切。
大島:あとは、旦那の鈴木おさむの影響もあるかもしれません。めっちゃ面白いんですよ。全然感覚が違くて、見ていると怒っていることがバカバカしく思えてくるんです。旦那はSNSのDMで知らない人から送られてくる嫌な内容も、全部見ているんですね。最初、私は「見て大丈夫なの?」と心配していたのですが、旦那は「なんで? 面白くね? こういう人もいるよね」って。なんとも思わないんですって。賛否あって当たり前、その“否”を受け取るかどうかは自分次第。それを見て、「あぁ、このメンタルだな」と思って視野が広がりました。あまりにも感覚が違くて、宇宙人を見ているかのようで面白いです。
よしこ:近くに真逆の感覚の人がいるといいですね。大島さんの家に行くと、おさむさんが何かをやっているのを大島さんが遠くからニヤニヤして見て「面白いっしょ」って言ってくるんです。
大島:この間もあったよね。おさむさんとよっちゃんが喋っていて、「昨日何やってたの?」と話していたかと思ったら、いきなり「はい、もしもし」って電話し出すんですよ(笑)。
よしこ:ありました(笑)! 普通に喋っている中で「あれってなんだっけ?」となったら、おさむさんは急に「あれってさ~」と誰かに電話するんですよね。
まひる:切り替えが早い!
大島:それを日々見ているから、人の気持ちばかり考えずに、自分のペースでいいのかなって。自分だけで考えずにいろんな人と喋ってみたり、聞いてみたりしたほうがいいのかもしれないですよね。
ーーたしかに大切なことですね。ガンバレルーヤのお2人はいかがですか?
よしこ:大島さんがおっしゃっていた、「目の前の人に言われたら言い返せる」というのがすごいなと思いました。これまで「面白くない」「笑えない」と面と向かって言われてきましたが、その言葉がすごく心に刺さってしまって、私は言い返せないんです。なので、日記に「この人を見返す」と綴っておいて、それを原動力にしています。良くないエネルギーだとは思うのですが、頑張らなきゃいけない時に日記を見返しています。それでその人から「面白いじゃん」と言われたら、「よっしゃ!」って。

ーーよしこさんは相手に怒りを向けないタイプなんですね。
よしこ:向けられないんですよ。
大島:優しいからね。
よしこ:怒りを出せたらスッキリできると思うんですけど、できなくて。なので、見返すという方向に切り替えています。
まひる:私は嫌なことがあると引きずっちゃうタイプ。フラッシュバックみたいに急に思い出して、「うわぁー!」となってしまうんです。
よしこ:まーちゃん、いっつも「うわぁ!」って言ってる(笑)。
大島:怖いな!
まひる:洗面台で歯磨きをする時とか、無になれる時間ってあるじゃないですか。そうすると嫌な思いをした時のことがふと思い出されて、「うわぁ!」って。しかも、この仕事をしていると同じようなシチュエーションになることが多いので、忘れることがないんです。毎日のようにあるので、日々自分の中に溜まっていってしまうんですよね。よっちゃんがすごいなと思うのは「悔しい」「見返したい」となった時に相手にフォーカスを当てるんじゃなくて、悔しい気持ちを原動力に自分にフォーカスを当てているところで。嫌な経験をした時に日記に書いて忘れないようにするけど、相手に恨みを向けるのではなくて自分に向けている。同じようなことがあった時に同じ失敗をしないために自分の成長へ目を向けているのがよっちゃんのすごいところなんです。私はそれができなくて。だから「うわぁ!」ってなるんです。
大島:でもそれも自己防衛じゃない? まーちゃんこそ、人に向けられないんだよ。
よしこ:そうそう。自分に向けているから「うわぁ!」ってなっているんじゃない?
まひる:でも、最近少しずつ変わっていて。今までは溜め込んでしまっていたので、よっちゃんやマネージャーさんなどの身内には嫌なことは嫌だと言うようにしているんです。「さっき◯◯さんに言われたあれがすごく嫌だった」とか、「この前ロケでこういうことをされて嫌だった」とか。愚痴みたいになってしまっている部分もありますが、優しく聞いてくれるのでスッキリできるようになりました。

大島:それも大切だよね。
まひる:でも、それも最近嫌だなと思う自分もいるんです。愚痴や悪口でしかコミュニケーションが取れない人間になってしまうんじゃないか、って。それで涙しちゃったりするんですよ。
よしこ:もうループだよね。
まひる:例えばマネージャーさんとご飯に行って、愚痴を聞いてもらうじゃないですか。家に帰ってから、「こいつ愚痴ばっかり言うなって思われていたどうしよう」って。それでまた涙が出てきて、それがストレスになるんです。
大島:いい人すぎるだろ!
よしこ:私は感情論で「腹立つ!」となるタイプなのですが、愚痴の内容を聞いているとまーちゃんは理に適っているというか。「それはそう思うよ」という内容ばかりなんです。だから「うわぁ!」となる必要はないのに、優しいから申し訳ない気持ちになってしまうんだろうな、と。それに、「うわぁ!」ってなっているのも聞いていて面白いんですよ。その直後に同じテンションで「ごめんね!」とか言ってて笑っちゃうんです。多分、「うわぁ!」となっているのを私に聞かせることを良くないことだと思っているんでしょうね。私としては面白いので、全然気にしていません。
まひる:直接「あれが嫌でした」と伝えられるようになったとしても、それが解決法にはなっていないとよっちゃんを見て学んだりもしています。よっちゃんは嫌だったことを吐き出すだけじゃなくて、1個笑いを交えてユーモラスに伝えるんです。ストレートに「嫌でした、直してください」と伝えると雰囲気も悪くなるし、チームの士気も下がるし。自分だけスッキリしてもどうなのかなって。でも、よっちゃんは伝え方がすごく大人で嫌味がないんです。
よしこ:それ、最近議題に上がったんですよ(笑)。まーちゃんは伝えたいことをしっかり伝えるけど、私は包みすぎて伝わらないっていう。
大島:2人の間くらいがいいね。
よしこ:大島さんはちょうど間くらいですよ。思ったことを真っ直ぐ言うけど、嫌な雰囲気にならない。
まひる:そう。気持ちがいいんです。
大島:40歳になったらできるようになるんじゃない?
まひる:私、今小学生みたいな伝え方になっちゃうんですけど、できますかね? (思いっきり泣き真似をしながら)「さっきのアレ、すごく嫌でしたぁ!」って。
よしこ:それも面白いけどね(笑)。
大島:40歳になってそれは嫌だなぁ(笑)。
まひる:30歳がこれをやるのでとんでもない空気になるんですよ(笑)。で、部屋に帰ってから「なんであんな泣き方しちゃったんだろう」って落ち込むんです。だいぶ話がずれちゃいましたけど、いい解決方法を探している途中です。大島さんやよっちゃんという「こうなりたい」と思う人が近くにいるので、学ばせていただいています。
